材料は目的の形に成形することができて初めて実用になります.金属材料の加工法はいろいろありますが,鋳造は複雑な形の品物を作るのに最適な方法です.
ロストワックス法は代表的な精密鋳造法です.この方法では,まず目的物と同じ形状の模型を蝋(ワックス)で精密に作り,その周囲を耐火物で固めます.次に加熱して蝋模型を消失させた(ロスト)後の空間に溶湯を注ぎ,冷却し目的形状の鋳物を製造します.
この技術の歴史は紀元前までさかのぼることができ,細緻な蝋型鋳物がエジプトや中国の古代文明遺跡から出土しています.また当地高岡銅器もこの原理に基づいて作られてきました.ロストワックス法として工業化されたのは第二次大戦中でのことで,米国では戦闘機用などの複雑形状部品が量産されるまでになりました.
硬くて切削できない金属でも,脆くて鍛造や溶接が無理な合金でも容易に,しかも砂型鋳物に比べて格段にすぐれた寸法精度や表面品質で成形できるので,ロストワックス技術の進歩とともに精密鋳造部品の使用分野は下表に示すように著しく広まっています.
| 航空機 | ジェットエンジン用動翼,静翼,翼機構部品など |
| 内燃機関 | 過給機翼車,ノズルなど |
| 化学プラント | ポンプ用インペラ,ハルブ本体,弁体,弁座など
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| 一般機械(食品,印刷製紙,紡績) | ウェアリングプレート,ホルダー,カム,レバーなど |
| 原子炉 | 燃料制御棒用ベロシティリミッタ,燃料棒用タイプレートなど
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| その他 | 工具類,スポーツ用品,医療用器具など |
近年の技術革新によって材料には一段と厳しい条件が要求されるようになってきました.それに対応すべく新しい合金が相次いで開発されておりますが,残念ながらそれらの成形は必ずしも容易ではありません.新材料の実用化に精密鋳造法が期待されているゆえんです.しかしそのためには新しい溶解・鋳造技術が必要となります.
弊社では蝋型鋳物その他で長年培ってきた技術によって特殊鋳鋼などの高級化を実現し,さらに石灰るつぼ溶解法を採用することによってチタンやクロムの精密鋳造およびニオブ,バナジウムを多量に含む特殊銅合金,金属間化合物などの鋳造に成功しました.最近では,ラピッドプトタイピング技術で作成した粉末造形モデルを蝋型の代替品として採用することが可能になったため,小ロットおよび短納期の鋳造品にも対応できるようになりました.
温故知新と創意工夫をモットーにして,弊社は精密鋳造技術のさらなる向上進歩のために精一杯の努力を続けております.